2025-04-28
春眠暁を覚え“る”
私がたまに見る悪夢のひとつに、「高校生の頃にやっていたバンドをもう一度やる夢」がある。
当時私はギターと歌をやっていて、歌なんかは特に下手で、あの時間を共に過ごした仲間には本当に申し訳ないが自分の中で黒歴史としてほこりをかぶったままにしている。
その黒歴史の続きが今でも年に何度か、私の睡眠を妨げにやってくる。
──ステージ裏にて出番5分前、
「もうギターも弾けないし曲も覚えていないのに一体どうするんだ!?」
……大抵このような場面にいて、激しい焦燥を胸に残して目を覚ます。
このホラードラマを10年以上見ているが、こないだついに新作が出た。出番まで1〜2ヶ月ある感じなのだ。
──1人のメンバーの熱心な呼びかけにより再結成することとなり、学校の屋上のような場所で5人が向かい合い円状に立っている。自分のかっこ悪いところを独白し、そんな自分におさらばという意味合いなのだろうか、おもちゃのピストルで自分の頭を撃ち抜くという茶番を1人ずつやっていく。
「生まれてから昨日まで、嘘つきじゃなかった日はあったかなあ!?今日やっと正直者になるよ、本当にやりたいことを思い出させてくれてありがとう!!」
私は頭を撃ち抜いた。
……熱血青春ものとしてリニューアルしていた。ひどく寝汗をかいた。
どうも春はうまく眠れない。

成城の桜並木が、散り際でもアニメみたいに綺麗だった。
(幸せというものは各個人の経験の中で相対的に決まるものだと重々承知していながらも、そんな道理を吹っ飛ばすほどの羨望でもって、)ここをのんきな顔で下校する小学生を見て「君は相当幸せだぞ?」と勝手に決定してしまわずにはいられなかった。
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